優しさは人を救う。おばあちゃんからの贈り物

優しさは人を救う。おばあちゃんからの贈り物

私はここのところで、保険の仕事を父から引継ぎました。

最近は、ようやく保険の仕事に慣れてきましたが、、、

最初のころは、銀行という業界から保険の世界にきて、ギャップが大きいことにビックリしました。

例えば、銀行時代は、本業の融資をするとなれば、数千万円や数億円、数十億円という単位が当たり前。

1000万円以下の手続きは、単位が小さすぎて利益にならないから、銀行員はみんな嫌がるんです。

ちょっと常識外れの考え方してますでしょ?

ほかに、銀行でも保険を販売しています。

銀行はお客さんの預金状況をわかっているので、お金をたくさん持っている方のところへ営業に行くわけです。

何千万円、何億円、数十億円持っているお客さんから保険の契約をいただくので、1000万円以上の契約じゃないと仕事をしていないかのような、評価・雰囲気さえ会社内で漂うんですね。

いま考えれば恐ろしい環境下で、平然と働いていたな、と思います。

一方、保険業界にきたら、世界が違いすぎて本当にビックリしました。

保険料が数千円、数万円、数十万円が当たり前。

100万円を越えたら大きい契約の分類です。

正直、最初のころは、自分はなにをやっているんだろう?と理解に苦しみました。

つい、こないだまで、数千万円が当たり前の世界にいたわけですから、、、

ただ、、、

お客さんと直接お会いしたり、事故対応をし、保険金をお渡しできるお手伝いを経験したりするなかで、、、

お客さんの為に貢献できることは、お金の金額じゃないんだな、と思えるようになってきました。

お客さんからの感謝の言葉をいただければ、それだけでやりがいがあるんです。

あるおばあちゃんからのプレゼント

そんな銀行と保険業界のギャップを感じていたときのこと。

「なんで父はこんな契約の仕事をずっと続けているんだろう?」という契約がありました。

それはある団体さんの、ケガの保険(傷害保険)です。

この契約は、父が20年近くご契約をいただいているものなのですが、、、

まぁ大変なんです(笑)

まず、その団体さんとは、名前は出せませんが高齢者のかたが多い組織なんですね。

で、うちは、その団体さんに所属している、おじいちゃん・おばあちゃんたちが、お怪我をしてしまったときに、保険金のお手続きをしているわけです。

おじいちゃん・おばあちゃんたちの総人数は、300名程度いらっしゃるのですが、、、

正直、怪我はしょっちゅう起こるし、、、

いろいろと手続きの作業ボリュームもあるし、、、

お客さんの保険料は、数千円と微々たるものなので実質赤字だし、、、

というわけで、なんで父は20年近くも赤字で、面倒くさいものを、ずーっとやっているんだろうと正直思ったわけです。

ある日、父に私の正直な考えを伝えました。

「なんで作業量も多くて赤字の仕事を20年近くもずーっとやってるの?」と。

すると、父がこんな話をしてくれました。

「最初は仕事を確保するために、何も考えずただ契約をもらったんだ。そして広げていった。契約をもらったあと、実際事故は多いし、儲からないからやめようかと思った。でも、あるおばあちゃんとの出来事があってから考えが変わったんだ」と。

その話ってなに?と私が聞くと、次のような話をしてくれました。

「日常茶飯事のようにおじいちゃんおばあちゃんが、骨折したとか、、身体を強く打ったとか、、電話が入って対応するんだけど、ある日大きな事故があったんだよ。ある家のおじいちゃんだったんだけど、自宅の2階で着物をきて1階におりようとしたら、着物のすそを踏んで足を滑らせてしまって、階段の上から落っこっちゃったんだ。不幸にも打ちどころが悪く、そのまま亡くなっちゃたんだ。その後、奥さんであるおばあちゃんが、入ってる団体のケガの保険も使える、ってことを聞いて、ウチに電話してきたんだ。それから俺が保険の手続きをしてあげて、おばあちゃんに数百万円払ってあげたんだよ。」

「そんな事故があったんだ、、、おじいちゃん可哀想にね、、、」と私がいうと、続けて父がこう話しました。

「そんな事故があって忘れかけていたある日、知らないおばあちゃんがウチの家にきたんだよ。腰の曲がった小さいおばあちゃんが『根本さんですか?』って。『えぇ、そうですがどうされましたか?』って聞いたら、、、『私は先日、階段の事故で夫を亡くしたものです。あのとき根本さんに、たくさんのお金を出してもらって、本当に助かりました。夫のために悔いのない葬儀ができました。本当に根本さんには感謝しきれません。根本さんはお酒が大好きだとお聞きして、、、』俺が酒が好きだってことをどこかで聞いて、背中に背負っていた風呂敷からウイスキーを取り出して、、、わざわざ持ってきてくれたんだよ。腰の曲がった小さいおばあちゃんが自分と同じぐらいの大きさのウイスキーを腰に背負って、わざわざバスを乗り継いで俺んちまできてくれたんだ、、、それまでは、ただ面倒くせぇ仕事だなって思ってたし、保険の仕事なんて、やりがいも何も持てなかったんだけど、この出来事を通して、保険の仕事の重要性だったり、やりがいがわかったんだ、、、」

こんな話をしながら、父は涙を流していました。

それと同時に私も涙を流していました。

(このエピソードを思い出しながらこの記事を書いていますが、また泣いています(´;ω;`))

この話を聞いてから私は、この契約だけは、父の想いと、おじいちゃん・おばあちゃんの為に守り続けようと思いました。

お金以上に、価値のある契約だったのです。

このあとも、おじいちゃん・おばあちゃんたちの大きな事故はいくつもありました。

そのたびに、父はお客さんに寄り添い、ただ手続きするだけではなく、優しい言葉をかけたり、前向きな言葉で勇気づける父の姿をみて、わたしは転職して良かったなって思いました。

またあらためて、父は尊敬できる人だな、と感じました。

私もお客さんに対するこの姿勢を忘れず、仕事を頑張っていこうと思います。

ー根本寛也

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